食生態学を基礎とした、「持続可能で健康的な食事」に支えられた楽しい食事による、人々の自尊感情並びに家族や仲間、地域への愛着を支えるコミュニティづくり
食生態学を基礎とした栄養・食教育、食育とは、人々がそれぞれの生活の質(QOL)と環境の質(QOE)のよりよい、持続可能な共生をめざして、食の営みの全体像(食の循環)を理解し、その視野・視点で食生活を実践し、かつ可能な食環境づくり、仲間づくりをすすめる力(食生活力、「食」?)を育てるプロセスである。
このアプローチは教育的アプローチと環境的アプローチの統合、さらに環境的アプローチはフードシステムと食情報システムの両側面の統合が必要である。
栄養・食の専門家とはこれらについて、科学的根拠を課題にあわせて再構成し、活用する人や組織である。(2005 足立己幸名古屋学芸大学名誉教授)
下の図にある通り、人々の生活の質(QOL)と環境の質(QOE)のよりよい、持続可能な共生(下図では緑色の吹き出し)をめざして、様々な栄養・食の課題(下図ではピンクの吹き出し)を人々と共に解決したいと思い、栄養教育・食育(下図では水色の吹き出し)の実践と理論をつなぐ、アクションリサーチを進めています。
研究テーマ
地域における「食」を基盤とした居場所づくりに関する食生態学的研究
喫茶店、コミュニティカフェ、子ども食堂などいわゆる「サードプレイス」において「食」の役割を明らかにしたいと考えています。
・高齢者のモーニングサービス利用行動の変化とその要因-名古屋市高齢者福祉施設入所者の事例-
・名古屋圏中高年勤労者にとってモーニングサービスは朝食の場として貢献できるか
・勤労者におけるモーニングサービス利用行動と期待 愛知県K市役所職員における検討
・モーニングサービスとして提供されるメニューの現状と課題-名古屋圏都市部生活者がアクセスしたメニュー分析-
・子ども食堂における学習者のエンパワメントを促すための食育プログラムの検討
一食の適量把握に関する研究
自分にとって適量の食事を食べることは、健康にも環境にも大切なことです。そこで”1食に何を、どれくらい食べたらよいか”のものさしである「3・1・2弁当箱法」による食事法の実践を支援する方法を明らかにしたいと考えています。
・教職課程履修女子学生について「3・1・2弁当箱法」を用いた食育プログラムの検討
・やせ型若年女性の耐糖能異常に対する「3・1・2弁当箱法」を軸にした食生活介入の効果
・Effects of intervention based on The 3-1-2 Meal Box Magic for young female who had IGT
・若年成人女性の「3・1・2弁当箱法」実践における体調および身体組成への効果
・食事の摂取量を核とした妊婦とその家族のための食育セミナー案の作成
・看護学生とともに創る食生活改善プログラムの効果
共食に関する食生態学的研究
子どもの頃から共食体験を積み重ねることは、食事の楽しさとどのように関連するのか、共食と食事の関連を明らかにしたいと考えています。
・“食事の楽しさ”の要因の構造について朝食・夕食・給食の特徴-愛知県N中学校の事例-
・小学生における家庭での“食事の楽しさ”とその要因-愛知県N学区小学校5年生の事例-
・小学校5年生時と中学校2年生時における家庭での“食事の楽しさ”と関連要因-愛知県N中学校区での反復調査-
・簡単に作れるカラフル朝食を家族で楽しむことを目指した幼児と母親のための朝食共食プログラムの検討
・アタッチメント形成に着目した食育プログラムの検討 ―家族と一緒に「おいしいね」の絵本づくり―
・青年期における楽しい食事の要因構造
地域の持続可能性と人々の健康な食事に関する研究
生活の質(QOL)と環境の質(QOE)のよりよい、持続可能な共生のための食生活のあり方を明らかにしたいと考えています。
・「さかな丸ごと食育」教材開発と活用:産地と食卓、自分をつなぐ魚介類入手可能性に関する教材作成
・小学3年生社会科と食育をつなぐ教材の開発-「にっしんおいしいお宝マップ」の作成-
教員の紹介
安達内美子 教授
担当科目/必修科目:栄養指導論、栄養教育実習 選択科目:食生活論
博士(栄養科学)。専門は、食生態学、栄養教育論、国際栄養学。
大学卒業後17年間、名古屋市職員として、中学校給食、高齢者福祉、地域保健に従事してきました。その間、青年海外協力隊栄養士隊員として、トンガ首相府中央計画局に派遣されました。現在は、食育を通じた地域づくりとして、子育て支援、外国とつながりのある子どもたちへの支援、子ども食堂との連携など、学生と共に行っています。