管理栄養学部

なるほど豆知識みんなで楽しく食べて、健康に!

前回、日本人の長寿を支える「健康な食事」についてふれました。

「健康な食事」は、健康や栄養バランス、おいしさ、楽しみといったものから、食料生産・流通や食文化まで、様々な要因から構成されています。つまり、肉体的に健康になれるだけでなく、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされるような食事である必要があるわけです。

栄養素のみが整った食事ではありません。「何をどれだけ?」に加えて、「いつ?どこで?だれと?どのように食べる?」ということも、大切になってきます。

前回は、「何をどれだけ食べればよいのか」について、お話ししました。今回は、「だれと、どのように食べる」と肉体的、精神的および社会的にも健康になれるのかをお話しします。

ずばり、結論から言えば、「生活や社会活動をいっしょに(共有)しているだれかと、楽しく食べる」ことです。

民族学者である石毛直道さん(国立民族学博物館名誉館長)は、「人間は共食する動物である」と述べています。石毛さんは、「ひとりで食べることが通常とされる社会はない」とまでいっています。なぜ、人間は共食をしてきたのでしょうか。

人間は、幼いころからの共食によって高度な社会的能力を獲得できるといわれています。つまり人間は、共食することによって社会的な動物としての人間になれるわけです。

また、「食」は非常に強力なコミュニケーション媒体であるといわれています。つまり共食の場は、コミュニケーションの場なのです。

小学生について、下図のような調査結果があります。

朝食を家族全員で食べた子ども(赤色)とひとりで食べたこども(青色)、ひとりがよいと答えた子ども(水色)の比較です。棒グラフが長いほど好ましくない子どもが多いということを表しています。全ての項目で、家族全員で食べた子どもが一番短く良好です。

明日、早く起きて家族全員で朝食を摂りませんか?

次回は、「いつ?どこで食べるか?」ということについて、お話ししたいと思います。

食生態学研究室 安達内美子