管理栄養学部

研究室の紹介生物化学研究室

植物の力を最大限に活かす

 植物は、単純な化合物(無機化合物)から複雑な化合物(有機化合物)を合成する力をもっています。人は、植物が合成したそれらの成分(炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン)を、栄養素として摂取しています。しかし世界では、十分な栄養素を摂取できずに苦しんでいる人々がいます。また、植物が合成するユニークな有機化合物(ポリフェノール、テルペノイドなど)が、人の健康維持に良い働きをすることも知られています。

 そこで私たちは、人の健康維持に役立つ植物(農作物)の開発をめざして、以下のテーマで様々な研究に取り組んでいます。
・栄養素をはじめとする様々な成分が、植物においてどのように合成されているのかを明らかにする
・それらの成分の合成や分解が、いつ、どのようなときにおこるのかを明らかにする
・人の健康維持に役立つ成分の含量が高まるような、栽培条件や品種を見つける

研究テーマ

植物種子発芽時のアスコルビン酸の合成について

 アスコルビン酸(ビタミンC)は、人の健康維持に関わる大切な栄養素です。一方で植物は、自身を守るために必要な物質として、アスコルビン酸を合成しています。
 そこで私たちは、植物がアスコルビン酸を活発に合成する生育条件を特定して、その時に働く遺伝子を明らかにしようとしています。これにより、アスコルビン酸の含量を高めることができる栽培方法や、アスコルビン酸を豊富に含む品種の開発が可能となります。

植物種子貯蔵タンパク質の分解について

 植物の種子には、タンパク質が貯蔵されています。それは、種子が発芽する時に働くタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)によって分解されて、アミノ酸となります。そのアミノ酸は、植物の芽生の生長を支える大切な物質です。
 一方でアミノ酸は、人の成長や健康にとっても欠かせない、大切な栄養素です。そこで私たちは、人に役立つ種類のアミノ酸を豊富に含む植物の開発を目指して、種子の発芽時に働くプロテアーゼとその働きを明らかにしようとしています。

フィチン酸分解酵素の活用について

 リン(P)は、植物の生長に欠かせない大切な元素です。植物の種子でリンは、フィチン酸という形態で貯蔵されています。フィチン酸は種子が発芽する時に分解され、それにより生じるリンが植物の芽生の生長を支えています。
 一方でフィチン酸は、様々なミネラルと強く結合することから、食事に含まれるミネラルの吸収を妨げてしまいます。それが、貧血や骨粗しょう症の原因の一つだと考えれらています。
 そこで私たちは、フィチン酸の少ない種子の開発を目指して、種子の発芽時に活性化してフィチン酸を分解する酵素(フィターゼ)を活性化させる方法を探索しています。

教員の紹介

間崎剛 講師

担当科目/化学入門、基礎化学、基礎化学実験

博士(農学)|技術士(生物工学部門・細胞遺伝子工学)|環境計量士(濃度関係)
|二級知的財産管理技能士(管理業務)
植物の遺伝子の働きを明らかにして、その仕組みを明らかにすることを目標にしています。
そして、人類の役に立つ植物の開発に関われればいいなと思っています。
植物を育てることが好きな方、一緒に研究しましょう。
また、植物の生長や仕組みについて知りたい方、一緒に学びましょう。