管理栄養学部

なるほど豆知識油の酸化について

みなさんは、スーパーやコンビニで買った揚げ物を食べた時に、あるいは飲食店で揚げ物を食べた時に『あれ?なんか油臭い!美味しくない!』と感じたことはありませんか?または、揚げ物を食べたあとで胃がもたれたことはありませんか?それは、油が新鮮な状態でなくってしまっていて、悪くなっている油で調理されたものを食べた結果です。

では、油が悪くなるというのはいったいどういうことなのでしょう?それは、油を使って調理する時に、油の主成分である脂肪酸が酸素と結合して酸化してしまっている状態のことを言います。今回は、その『油の酸化』についてちょっと詳しく説明してみます。

油のほとんどは、グリセロール1分子に脂肪酸3分子が結合した中性脂肪というものからなっています。その中性脂肪中の脂肪酸が、熱によって酸化されてしまいます。しかし、すべての脂肪酸が酸化されやすいわけではなく、不飽和脂肪酸という種類の脂肪酸が酸化されやすいと言われています。

不飽和脂肪酸を多く含む食材として、植物性食品や魚があげられます。つまり、揚げ物をする油は、植物油がほとんどですので、揚げ物をしているとその油はどんどん酸化されてしまうことになります。

油の酸化は、ラジカルという活性物質の生成から始まります。そのラジカルは、細胞やDNAを攻撃して損傷させ、それによりガンや動脈硬化などの生活習慣病を引き起こしてしまうとも言われています。

一旦ラジカルが生成すると、そこに存在する不飽和脂肪酸を次々にラジカルへと変えてしまいます。また、ラジカル同士は結合して高分子になってしまいます。これが、揚げ物を続けているとその油がドロドロとしてくる原因です。このような油は、我々ヒトの消化酵素で分解がしにくくなり、胃がもたれた原因となるのです。また、酸化した脂肪酸は分解されて低分子になるものもあり、それが油の臭さの原因です。

したがって、家で揚げ物をするような時には、古くなった油や酸化が進んでしまった油の使用は控えたほうが良いことになります。

繰り返し使用する時は、3回ぐらいまでに抑えましょう。出来るだけ1回で交換したほうがよいでしょう。さらに、ラジカルは次々にラジカルを発生させることから、油の継ぎ足しも控えたほうが良いと思われます。

食品学研究室I 和泉秀彦