管理栄養学部

なるほど豆知識日本の典型的な朝ごはんは...バランスがいい?

みなさんは、日本の典型的な朝ごはんというと、どのような献立を思いうかべますか?まず、思い浮かべるのは、炊き立てのご飯に味噌汁、そして焼き魚・卵焼き・野菜(サラダ・煮物・漬物)といったところでしょうか?

では、このような献立は本当にバランスが取れていて、すばらしい食事といえるのでしょうか?今回は、この献立のどこが良いのかを栄養素の面から解説したいと思います。

ヒトにとって必要な主な栄養素は5つあり、炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルです。さらに栄養にはそれほどなりませんが、腸内で重要な機能を果たしてくれいる食物繊維があります。では、上にあげた朝ごはんの献立それぞれの中にどのような栄養素が含まれているかを考えてみたいと思います。

まず主食となる炊き立てのご飯です。ご飯には、炭水化物が多く含まれ、約80%を占めています。そのため、その他の栄養素(脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラル・食物繊維)は、少ししか含まれていません。たんぱく質を構成するアミノ酸のなかで特にリジンというアミノ酸が少ないです。ビタミン、ミネラルおよび食物繊維は、糠や胚芽に多いのですが、玄米から精白米にすることで、減少してしまいます。また、Caも少なく、Pとのバランスも良くありません。では、その他の食材がこれを補ってくれているのでしょうか?味噌・焼き魚・卵焼きは、たんぱく質・脂質を多く含んでいます。また、野菜や大豆食品は、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富です。Caもある程度含んでいます。これらをまとめると次のような図になります。

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つまり、ご飯に足りない栄養素を主菜・副菜で補っていることになるのです。言い換えると、様々な食材がお互いの足りない部分を補い合っていることになります。偏った食事をしていると、重要な栄養素の一部が不足してしまうことになります。日本の典型的な朝ごはんというのは、栄養素の面からいうと、ある程度バランスが取れている献立ということになります。食事をするときは、日本の典型的な朝ごはんを思い浮かべながら、十分に栄養が取れているのか、何か不足しているのかを考えてみましょう。そして、足りない場合には、次の食事でそれを補うように工夫しましょう。

食品学研究室I 和泉秀彦