食べ物と健康
みなさん、食物アレルギーになぜなってしまうかを考えたことがありますか?
食物アレルギーというのは、本来なら体を外敵から守るためになくてはならない抗体が悪さをした結果です。食物を口から摂取する場合には、ヒトはその食物に対して過敏に反応しないようなしくみを持っています。経口免疫寛容といいます。つまり、食物を口から摂取していれば、この機能が働くために食物アレルギーにはなりにくいと言えます。では、どうして食物アレルギーが発症してしまうのでしょう?
答えは…驚くかもしれませんが、口以外、つまり皮膚などからアレルゲンとなるような卵や小麦、牛乳などの食物が体内に入った場合に、赤ちゃんが一度も食べたことがないのにその食物に対するアレルギーを引き起こす抗体(IgE)が体内で作られてしまいます。こうなると、実際に初めて口に食物を入れたときにアレルギー症状がでてしまうことになるのです。食物アレルギーの発症のしくみを下の図に示します。
①アレルゲンが皮膚などから侵入すると、②マクロファージという白血球がそれを分解し、③アレルゲンの情報を表面に出します。④マクロファージによって提示された情報をT細胞という白血球が受け取り、⑤その情報をB細胞に伝達します。⑥B細胞は抗体産生細胞に分化して抗体(IgE)を産生します。ここまでが、上で述べた皮膚などからアレルゲンが侵入した場合にIgEが作られるしくみです。そこで、⑦再度アレルゲンが体内に入った場合に、すでにIgEが体内に存在しているために、肥満細胞という炎症(かゆみ)を引き起こす顆粒を多く含んだ細胞上でIgEがアレルゲンと結合して、⑧脱顆粒をおこしてアレルギー症状がでることになります。
では、いったいどうしたら食物アレルギーが起こりにくくなるのでしょう?
多くは赤ちゃんの皮膚からアレルゲンとなる食物が侵入することが原因と考えられますので、赤ちゃんの皮膚のケアが大切と言えます。赤ちゃんにアトピー性の皮膚炎などがあると食物アレルギーになりやすいと考えられます。また、テーブルや床に食物のかすなどがあることも危険因子ですね。