社会と健康
日本の総人口は、平成29年10月時点で1億2,671万人となっており、そのうち65歳以上の高齢者は3,515万人であり、総人口に占める割合(高齢化率)は27.7%となっています。
このような高齢社会の到来の中で、従来の医療制度、老人保険制度では対応しきれない問題が生じるとともに、高齢者の介護に関わる人手不足など、今後の高齢人口の急速な増加から「日本の未来は暗い」と考える人も少なくありません。
はたして本当にそうでしょうか?
下記の図は、65歳以上の高齢者のうち、支援・介護を要する人口の推移を示したものです。
65歳以上(被保険者)の要支援・要介護認定者数の推移(内閣府:「平成30年版高齢社会白書」より引用)
図に示す通り、介護保険制度における要介護又は要支援の認定を受けた人は、平成27年度で606.8万人ですが、実はこの数は高齢者全体の2割程度に過ぎず、残りの8割は「円熟した頭脳と豊富な経験を持つ健やかで元気な高齢者」であると言えます。
介護保険の導入や尊厳死などに尽力された井形昭弘先生(名古屋学芸大学・前学長)は「健やかで元気な高齢者がどっと増えることが社会にとってマイナスになる筈がなく、元気な高齢者のエネルギーを社会発展に結び付ければ、日本の未来は無限に明るくなる。」といった言葉を残しています。
私たち若者は、これから増加していく高齢者を尊重し、敬意をもって接し、豊かな知識と教養を学ぶことで、さらに次世代へ伝えていく使命を担っているのです。
【参考文献】
・内閣府:「平成30年版高齢社会白書」
・公益財団法人長寿科学振興財団:「健康長寿ネット」
・井形昭弘,夢の長寿社会-長寿科学の果たす役割-(第23回日本老年学会総会記録),日本老年医学会雑誌2003,40:559-564