食べ物と健康
食品を腐敗させたり食中毒を起こす細菌のなかには「芽胞」を形成し100℃以上の熱にも耐えることができる厄介な細菌がいます。Bacillus(バチルス)属やClostridium(クロストリジウム)属の細菌は芽胞を形成します。納豆菌や食中毒菌のセレウス菌はバチルス属、同じく食中毒菌のウエルシュ菌やボツリヌス菌はクロストリジウム属です。
これらの芽胞形成菌は栄養素が不足したり環境が悪化すると菌体内に芽胞を形成します。そして、芽胞は熱だけではなく乾燥や消毒剤にも耐えますので厳しい環境の中で生き延び、生育の適した環境になるのを待ちます。水分、温度、栄養などの生育環境が整うと、“発芽”し、“栄養細胞”となって増殖をしていきます。したがって、加熱調理した食品に芽胞が残存していることがあるので、すぐに食べないときは芽胞が発芽しないようにできるだけ早く低温にするなど、温度管理に注意する必要があります。
芽胞を殺菌するには乾燥状態では180℃で20分程度、湿熱状態では高温高圧釜(レトルト)での121℃で15~20分の加熱が必要です。レトルト食品などが常温で保存できるのは、芽胞をも殺菌しているからなのです。
<図はイラスト食品の安全性 小塚諭編 東京教学社刊 より引用>