化学・生物学
人の体は、約60兆個の細胞で作られています。これらの細胞は、食事から吸収した栄養素や酸素などを使って様々な生命活動をしています。細胞へ栄養素などの必要の物質を送っているのは、血液です。血液は心臓から送り出されると、動脈→細動脈→毛細血管→細静脈→静脈を流れ、心臓へ戻ります(血液循環)。毛細血管までは、心臓(心室)の収縮によって生じる圧力が、血液を送り届けます。毛細血管では、細胞に必要な栄養素や酸素などを水と一緒に細胞に渡し、細胞で生じた老廃物や二酸化炭素などを水とともに血液中に移動させます。
老廃物や二酸化炭素などを受け取った血液は、静脈を流れ心臓に戻ります。静脈では、血液を心臓に戻す力が弱く、心臓より下の血液は重力によりさらに戻りにくくなっています。では、心臓から離れている足の静脈の血液はどのように心臓の方へ送られているのでしょうか?それには、静脈の周りにある骨格筋が必要になります。歩くときに人は足の骨格筋を収縮・弛緩させます。この骨格筋の収縮時に静脈が押しつぶされ、血管内の血液が上部に送られます。歩く動作などで骨格筋の収縮・弛緩が繰り返されることで、さらに血液が上に押し上げられていく仕組みです(骨格筋ポンプ作用)。
※押し上げられた血液は静脈にある弁によって、逆流を防がれています。
健康な人が立ったままの状態を続けると、骨格筋の収縮があまりなく、静脈内の血液が上がりづらくなり、足の静脈に停滞しやすくなります。この停滞は、静脈内の圧を上げ、血管外の水が毛細血管に戻りにくくし、細胞間質に水分を増やします。これが足のむくみです。(細胞間の水は静脈だけでなく、リンパ管にも移動して行きます。リンパ管も同様の仕組みで内部の液体成分を送り上げます。リンパ管もむくみに関係します。)
※病気によるむくみのしくみは違っています。