管理栄養学部

なるほど豆知識最低血圧が0mmHgにならない理由

多くの人が、病院や自宅で血圧を測定したことがあると思います。血圧とは、血液が血管にかける圧力のことを言います。心臓は、血液を血管へと押し出すポンプの役目をしています。自分の血圧を思い出してみてください。どのくらいの値でしょうか? 厚生労働省によると、正常血圧は最高血圧130 mmHg未満、かつ最低血圧85 mmHg未満とされています。

血圧といえば、最高血圧と最低血圧があります。最高血圧とは、心臓が収縮し、拍出される血液が最大量の時、血管にかかっている圧力をいいます。最低血圧は、心臓が拡張していて心臓からの血液の拍出がない時に血管にかかっている圧力をいいます。最低血圧では、血液が拍出されていないのになぜ血圧が発生しているのでしょうか?

それは、正常な動脈の血管が持つ弾性という性質のためです。

弾性に富んだ血管は伸縮性があり、心臓から多くの血液が拍出され、血管に高い圧力をかけた場合、血管は押し広げられ伸びてしまいます。そのとき、血管の断面積は広がり、血液はより多くその断面積にたまることとなります。

この状態から、心臓が血液を拍出しなくなると血管にかかる圧力がへり、広がっていた血管はもとに戻ろうとします。そのとき、そこにたまっていた血液は押し出されることで、血流が少量ながら発生します。その血流によって生じた血圧が最低血圧となります。そのため、最低血圧は0 mmHgではないのです。

もし、老化や動脈硬化などによって血管の柔軟性が失われた場合、最低血圧はどうなるでしょうか? 柔軟性がないということは、心臓からの血液の拍出が最大になったとしても、動脈を押し広げることが難しくなり、血液をためにくくなります。そのため、最低血圧は、正常値より小さな値を示すことになります。

血圧は、様々な体の状況を私たちに教えてくれます。血圧について知ることで、体の変化に早めに気づくようにしてもらえたらと思います。

栄養生理学研究室 日暮陽子