管理栄養学部

なるほど豆知識COPDって、何ですか?

 皆さん!「COPD」ってご存知ですか?最近、やたらと英字の略が出回っていて、いつも携帯で検索しているのではないでしょうか?

 「COPD」とは慢性閉塞性肺疾患 Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの略です。従来の慢性気管支炎や慢性肺気腫が代表例です。タバコの煙などの有害物質を含む空気を永年吸い込むことで、空気の通り道である気道・気管支や酸素の交換を行う肺胞などに障害が生じる病気です。この病気については、2001年に「国際ガイドライン」(GOLD:ゴールドと呼びます)が定められ、日本呼吸器学会で「診療ガイドライン」により、我国においても、この病気の名前が公式に採用されています。

 永年にわたるタバコの喫煙習慣が主な原因であることから、厚生労働省の「第二次健康日本21計画(2013年度~2022年度)」において「生活習慣病」に追加され、計画の目標値として、「COPDの認知度の向上(日本国民)」を掲げ、2011年の現状値25%を2022年度80%に引き上げようとするものです。(残念ながら、愛知県の「健康日本21あいち新計画」の中間評価では、2012年度39.2%から2016年度26.5%と低下しています。〔愛知県生活習慣関連調査から〕)

 現在、厚生労働省では、健康増進法の改正に受動喫煙対策を取り上げる検討が進められており、2020年開催予定の東京オリンピックに向けて、中心的開催都市である東京都における喫煙防止対策の実現が図られようとしていますが、居酒屋等不特定者の利用する施設の対応で、見直しの方向性が定まらない状況となっています。(2017年8月末時点)

 一方、2011年の人口動態統計における死亡数では、「COPD」によるものが、男性12,983人(第7位)、女性3,637人(第16位)、総計16,620人(第9位)にランクされており、今後、日本のみならず世界で確実に死亡数が増加するといわれていることから、一刻も早いCOPD対策、つまり「喫煙防止対策」が求められています。

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図2 COPDと健常者における1秒量の経年変化の比較(一部改編)

(初出:Resline,1991を邦訳 木田厚瑞著「肺の話」岩波新書、1998より引用)

 

五十里明

管理栄養学部