医療と健康
8020運動(80歳で自分の歯を20本以上残す運動)発祥の地である愛知県、その達成者は順調に増えています。
一方で、永久歯を喪失する原因として、歯周病によるものが30歳代後半から増え始め、40歳代後半から75歳の間は過半数に及んでいます。
この歯周病は、歯石の沈着や不良習癖、不適切な冠、歯並び等により、歯垢(プラークといいます)が長期間付着することにより発症するもので、喫煙やストレスの多い生活習慣により増悪していきます。
また、最近の研究では、生活習慣病の代表である糖尿病、心臓・脳血管の循環器疾患など全身の疾患にも影響を及ぼすことが報告されております。
歯周病と糖尿病の関係を、もう少し詳しくご説明しますと、糖尿病の及ぼす歯周病への影響は、糖尿病により歯周病関連細菌(グラム陰性嫌気性菌:ジンジバリス)に感染しやすくなり(細小血管障害、好中球機能異常)、歯周組織が急激に破壊され、歯周炎が重症化します。
一方、歯周病が及ぼす糖尿病への影響では、歯周炎という炎症の存在により、インスリンの効きを悪くする物質(INF-α等)が発現して血糖値は上昇し、糖尿病のコントロールをますます困難にする、また同時に、歯周炎も進行していく、という悪循環を引き起こします。
つまり、歯周炎に対する適切な治療により、インスリンの効きが改善し、糖尿病の改善も認められることが明らかになってきています。
愛知県内では、医師、歯科医師、薬剤師を中心とした連携を目指した体制整備が進められており、糖尿病連携手帳、おくすり手帳、情報提供書を活用した情報交換が広がってきています。
皆様も、是非活用され、歯周病とともに糖尿病治療にお役立てください。
歯周病と糖尿病の連携(あいちモデル)体系図【愛知県ホームページから】
五十里明
管理栄養学部