管理栄養学部

なるほど豆知識味付け上手になりませんか?

毎日の食事を作る時の味付けをどのようにしていますか?「このくらいかなぁ~」と調味料をパパッと適当に入れていますか?それとも、計量スプーンなどを使って、きちんと使用する分を量ってから使いますか?

実は、上手に味をつけるためには、ちょっとしたコツがあります。「量るのは面倒・・・」「料理は苦手だけど、おいしい料理が作れたらうれしいかも・・・」と思っている方は、ぜひ調味の基本を覚えてみましょう。

料理の基本、すなわち「調味の基本」は、『さしすせそ』です。これは、日本古来の料理の基本とされており、“味付けの順番”を示しています。この5種類の調味料を使いこなすことが、味付け上手のコツになります。

 「さ」;「砂糖」・・・ 甘味。食材の水分を保つ作用があり、肉や魚を柔らかくします。

 「し」;「塩」 ・・・ 塩味。食材に含まれる余分な水分や臭みを外に出します。

 「す」;「酢」 ・・・ 酸味。臭み取り、アク抜き、食材を柔らかくしたり、腐りにくくします。火にかけると酸味が飛んで、味がまろやかになります。

 「せ」;「醤油」・・・ 塩辛味。加熱しすぎると塩辛くなって風味が損なわれてしまうため仕上げに入れます。

 「そ」;「味噌」・・・ うま味。煮詰めたりすると風味が逃げてしまうので、最後に入れます。

味付けの順番には意味がそれぞれあります。

最初の砂糖と塩の2つの順番は、分子量の違いに基づいていて、砂糖の分子量は342.2、塩の分子量は58.5で、砂糖が塩よりも大きくなります。分子量が小さいほど、食材に染み込みやすいため、塩を先に入れると砂糖が染み込みにくくなってしまいます。一度、しょっぱくなってしまった味を調整するのが難しいのはこの分子量の違いのためなのです。

酢は、加熱すると蒸発して酸味が飛んでしまうのですが、食材の臭みを抜いたり、柔らかくする作用もあるため、頃合いを見計らって加える意味で3番目になっています。

醤油や味噌は、加熱しすぎると風味が損なわれてしまうため、最後に入れるのが良いとされています。

「さしすせそ」は、あくまでも原則であり、すべての料理でこれを適応するということではありませんが、調味の基本として覚えておくことが大切です。また、この5種類にプラスして使われている「酒」「みりん」があります。

 「酒」  ; 食材を柔らかくする効果があります。

 「みりん」;  甘味とツヤを出す効果、食材を固くする作用があります。

酒とみりんには、共に料理にコクを出し、材料の臭みを取る効果があるため、料理には「酒+みりん」がセットで使われることが多くあります。

これだけの調味料があれば、一通りの和食を作ることができますので、常備品として買いそろえておくといいでしょう。そして、料理したり、レシピ本などを見ていると、どの味付けも同じような調味料や調味割合で使用されていることに気が付くと思います。

味付けの黄金比の一つと言われる「醤油1:みりん1:酒1」。この分量を変えたり、他の調味料を加える、生姜やかんきつ類などを加えることで、いろいろな味を表現することができます。

例えば、和食の代表的な組み合わせは、

 ★ しょうゆ2 : みりん1 = 甘辛

 ★ しょうゆ1 : みりん2 : 酒1 = 薄味

 ★ 砂糖1 : しょうゆ2 : みりん2 : 酒2 = 照り焼き

 ★ しょうゆ + だし汁 = 煮物

 ★ しょうゆ + みりん + だし汁 = めんつゆ などなど。

調味料の基本的な組み合わせを何パターンか覚えると何にでも応用ができるようになります。

参考とする組み合わせや調味割合はレシピの本などにも記載されていますが、最終的には自分の舌で、“味見”調整していきます。

美味しい料理を食べて、その味を知ることも大切ですが、「何を組み合わせると、どんな味になるのかなぁ・・・」と自分の舌で確かめながら試して、オリジナルの味を発見するのも面白いですね。

また、いろいろな料理を食べ歩きする際、“味の食べ歩き”もしておくと、実際に調理を行う際の味付けに大いに役立ちます。

最近では、調味料も多種多様になっていますが、まずは調味の基本と手順を覚えて、おいしい料理を作ってみませんか?

給食管理実習では、大量調理の味付けをする時には、調味の基本を原則とし、「調理操作の標準化」として、味のばらつきがなく、誰が調理しても同じ味が出せるように、基準の食品に対する調味割合を決めて調理を行い、おいしい料理の提供を心掛けています。

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南亜紀