管理栄養学部

なるほど豆知識セサミンのビタミン代謝調節作用

ゴマに含まれる機能性成分であるセサミンは、体内の酵素であるシトクロームP450 4F (CYP4F)の活性を阻害します。CYP4Fは、ビタミンEとKのそれぞれの分解経路の最初の水酸化反応を触媒します。そのため、ラットにゴマやセサミンを摂取させると、ビタミンEとKの分解が抑制されて、ビタミンEとKの体内濃度が上昇します(1,2)。また、ラットにセサミンを摂取させると、肝臓で起こるセサミンの分解にともなってビタミンCの合成が増加するため、体内のビタミンC濃度も上昇します(3)。したがって、少なくとも動物実験レベルでは、ゴマやセサミンがビタミンE、K、Cの生理作用を増強させることが期待できます。このようなセサミンのビタミン代謝調節作用は、体内のビタミンレベルがそのビタミンの摂取量だけでなく、食事を通して一緒に摂取する食品成分によっても影響を受けることを示すものであり、ビタミン栄養の面からも大変興味深い現象です。

(1) Ikeda et al. J Nutr 132, 961-966 (2002)

(2) Hanzawa et al. J Nutr 143, 1067-1073 (2013)

(3) Ikeda et al. J Nutr Sci Vitaminol 53, 383-392 (2007)

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栄養生化学研究室I 池田彩子