
活動の報告Activity Report
学生の活動
2025年度 アメリカ海外研修③
Public Health Nutrition Programs: Women, Infants & Children (WIC) and Healthy Communities
本日の講義にて、食糧安全保障、WICなどのプログラムについて学びました。
食糧安全保障とは、すべての人々が活動的で健康的な生活を送るために十分な食料にいつでもアクセスできることとUSDAは定義している。カリフォルニア州の北部にあるヨロ郡では、2024年の調査によると約29%の世帯が十分な食料にアクセスできていない。特に子育て世帯や農業従事者において高い割合で食料不安が見られ、アメリカ、カリフォルニア州を上回る。こうした状況に対応するため、WICやCalFresh Healthy Livingなど、複数のプログラムを持ち、包括的な支援体制を構築している。
WICは、低所得で栄養リスクのある妊婦、乳児、5歳以下の子供を対象に、栄養教育、母乳育児支援、健康食品の提供、医療機関への紹介などを行う連邦補助金プログラムであり、カードやアプリを通じて利便性の高いサービスを提供している。WICの申請には住所、収入、自分の子供であるという証明が必要で、条件に当てはまっている場合はその日から支援を受けることができる。2週間後に審査結果が出て継続できるかが決まる。
ヨロ群では肥満率、糖尿病率、心臓病率、子どもの虫歯率などの割合はカリフォルニア州のほとんどの群より健康的である。しかし、低所得者は価格が安く手に入りやすいジャンクフードをよく食べる傾向にあるため、肥満予防や栄養教育プログラムが行われている。
CalFresh Healthy Livingは、低所得者の健康的な食生活と肥満予防を支援するもので、成人の栄養教育クラス、地域イベント、モバイルマーケット、コミュニティガーデンなどを通じて住民の健康行動を促進している。2025年10月以降、連邦予算削減により栄養教育プログラムが廃止される予定である。
コミュニティガーデンは市や群、寄付にされた土地を使い、地域住民が自ら食料を栽培できる環境を整備している。保健局のコミュニティガーデンでは、園芸技術の教育、身体活動の促進、食料費の削減、地域のつながりの強化に貢献している。さらに、保健局は、学校給食の改善、子供向け飲料の規制、水道水のフッ素化など、政策面でも健康的な食環境の整備を進めている。
これらの取り組みは、食料不安という複雑な課題に対して、様々な側面からアプローチしており、地域の健康格差の是正と持続可能な食生活の実現を目指している。
日本の制度との比較
日本ではWICのように食品提供と栄養教育を一体化した制度は限定的である。日本では、乳幼児健診、学校給食などを通じて栄養教育は行われている。また、生活に困窮する方に対し、生活保護はあるが、条件が非常に厳しく申請から受給まで時間がかかる。日本の制度の良い点は、アメリカと比べて子どもへの栄養教育が充実している点だと考える。改善すべき点は、WICのような食品を提供する支援が少ないこと、支援があっても条件が厳しい点であると考える。アメリカの良い点は食品などの提供と栄養教育が一体化している点、支援を受ける条件が比較的易しく、すぐに受けられる点が挙げられる。学校で栄養教育をしなければならないという規則がなく、栄養教育プログラムの廃止によって栄養教育を受けられなくなる点が懸念されると考える。